日本ロックの「どん底」
1976年作品。RCサクセションの初期の傑作。本作を最後に、RCサクセションはフォークソングを脱却し、ロックサウンドへ接近していく。
Impression
音楽を愛して、その世界に入った青年の挫折と苦悩と吐露、それだけが詰まったようなアルバム。俳優の竹中直人氏は「日本のロックで1番暗いアルバム」と評していたけれど、本当にそう思う。天気のいい日に聴きたいアルバムではない。
絵画で例えていうなら「ゴッホ」の作品と、その生涯が重なるような気がする。
仲間との突然の別れ、変わらない日常。というより、抗えない渦の中にいるような日々を描いた一曲。
まったくのどん底、何一つが思い通りに行かない。どこにも行き場なんてない。
その中で生み出された「スローバラード」や「ヒッピーに捧ぐ」は、ゴッホでいうところの「赤い葡萄畑」なのだろうと思う。
キヨシローは生前にゴッホについて「ゴッホは自分に負けてしまった。」と語っていたけれど、言い得て妙だなあ。
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